web大岡村誌 植物・哺乳動物
大岡村の哺乳動物 人里の獣たち


大岡村のけものたち
 
哺乳動物とは
 哺乳類は、その名のとおり、母親が赤ん坊に乳を吸わせてそだてる動物のなかまです。皮膚には全身に毛がはえており、「けもの」ともいいます。せきつい動物の中でもっとも高等で大脳が発達しています。動きが素早く用心深いうえ、夜行性のものがおおいのでめったに人目にふれることはありません。そのため、足跡や糞、食べあとなどが生息を知る大きな手がかりとなります。
 日本には、海にすむアザラシなどのなかまも含め約100種の哺乳動物が生息しています。そのうち約50種が長野県に生息しています。
大岡村は筑摩山地のほぼ中央に位置する面積約46kuの村です。村の西側には犀川が流れ、標高500m以下の所もあります。村の中心部を含め、大部分は標高1000mまでの山麓の林や農耕地となっています。村の南東部は標高1000m以上の低山帯の林で、別荘地やスキー場もあります。村の低いところと高いところの標高差が1000m以上もあり、さまざまな環境がみられます。また、村のほとんどが哺乳動物の種類が一番豊富だといわれる山麓の林や低山帯の林であることから、大岡村にはたくさんのけものたちが生活しています。特にコナラやクルミ、クリ、ブナなどの広葉樹の林は、けものたちに、生活の場と、食料を提供しています。

図1 大岡村の環境
1.人家周辺や農耕地のけものたち
(1)家ネズミと野ネズミがともに生活
 ネズミの種類数は哺乳動物のなかでももっとも多く、約半数をしめるともいわれます。日本列島にも16種類が分布しています。
 ネズミにはドブネズミやハツカネズミなど住宅地に生息する家ネズミと、アカネズミやハタネズミなど農耕地や山地に生息する野ネズミがあります。大岡村の山村では、これらの両方がともに生活しています。

図2 森林棲のネズミ(アカネズミ)<上>
と地中棲のネズミ(ハタネズミ)<下>
    
(久保田敦子氏画) 
 ネズミのなかまはその体型から、耳や目が大きく、尾のながいアカネズミやヒメネズミと、どちらかというと体型がモグラに似ている耳や目が小さく、尾のみじかいハタネズミやヤチネズミとにわけられます。前者は主に森林で活動するネズミで、後者は主に地中で活動するネズミです。
@ドブネズミ
 最近市街地では、鉄筋コンクリートの建物に適したクマネズミが増え、市街地を追われたドブネズミは、郊外の農村部や観光地へと逃れる傾向が強いといわれます。ドブネズミは1年中繁殖し、寒さにも強いです。性質も激しくニワトリのヒナや子ブタを食うこともあります。
Aハツカネズミ
 ハツカネズミは、田畑の麦藁を積んだ中や刈り取ったイネのはぜの中にひそんでいることがあります。体長6〜7cm位の小型のネズミで、白化したものは実験用のマウスとして利用されます。穀物、草の種子、タニシなどを餌とし、田畑に結びついて生活しています。寒い時期は家屋の中に入り込んできます。大岡村でも、農耕地付近での目撃情報をいただいています。
Bアカネズミとヒメネズミ
 アカネズミは、明るく開けた環境を好み、森林の伐採や道路建設により、標高の高いところにも分布を広げています。大岡村で野ネズミというのは、アカネズミのことです。大岡村の西側の農耕地で多くの情報をいただきました。
 ヒメネズミは、薄暗い広葉樹林を好みます。アカネズミより尾が長く、尾でバランスをとりながら上手に木登りができます。ヒメネズミは日本の特産種で、小さくてかわいいことから「芸者」という学名がつけられたこともあります。アカネズミとヒメネズミは大変よく似ていますが、成体の後足長が2cm以下ならばヒメネズミです。
Cハタネズミとカゲネズミ
 地中で活動するネズミでは、ハタネズミやカゲネズミが生息します。スキー場や草原、耕地の周辺にはハタネズミが多くみられます。ハタネズミは完全な草食性のネズミで、トンネルを掘って生活しています。ときに大発生し畑の作物に被害をおよぼすこともあります。ツツガムシ病の病原体を持つツツガムシは、ハタネズミの耳に寄生することが多いので気をつけなければなりません。
 カゲネズミは、ハタネズミよりひとまわり小さく、古い形のネズミであるといわれています。その臼歯は、一生伸び続けます。低山帯の広葉樹林が生活の場です。
(2)小さいけれど畑の大敵−モグラのなかま
 モグラの仲間は食虫目といわれ、昆虫やミミズなどをえさにしています。口先がとがり、一見するとネズミに似ているトガリネズミのなかまと、地中で生活するモグラのなかまにわけられます。

図3 ネズミ型のトガリネズミ(上)
とモグラ型のアズマモグラ(下)
(久保田敦子氏画)
@ジネズミ
 大岡村の里山には、ジネズミが生息していまする。ジネズミはトガリネズミのなかまで、それよりひとまわり大きく、体重6〜8g、頭からしっぽの付け根までの長さが6〜8cmです。ジネズミとトガリネズミは、トガリネズミの歯の先端が赤いことから容易に区別することができます。トガリネズミは亜高山帯森林を生活の場としますが、聖山に生息する可能性があります。
Aアズマモグラ
 犀川の河川敷や畑地、草地にはアズマモグラが生息しています。大岡村でも、いたるところに穴を掘ったときにでる土を積み上げた「モグラの塚」が見られます。このあたりの畑には、木製のプロペラやペットボトルで作ったプロペラがよく見られます。これはプロペラの回転により振動をおこし、振動を嫌うモグラの侵入を防ぐためのものです。
Bヒミズ
 ヒミズは山地の森林や草原にすみ、落ち葉やコケと土の間にトンネルを掘って生活します。雑木林やカラマツ林の落ち葉の中にみられる穴はヒミズがえさを求めてあけたものです。ヒミズは夜間地表にでて、ミミズ、昆虫、クモなどを食べています。山地のアスファルトの道路に出て死んでいるのを良く目にします。聖山には、ヒメヒミズが生息する可能性があります。